突然ですが質問です!
自分の好きなアーティストはもちろん、最近気になっているアーティストや話題の新人アーティスト、人気急上昇中のアーティスト‥
「所属しているレコード会社(レーベル)はどこだろう?」
なーんて考えてみたことはありますか?
俺の場合、(基本的に) 気になったアーティストの所属レコード会社は調べます!
理由は簡単。
各レコード会社(レーベル)ごとに、所属アーティストの特徴や音楽性の傾向が違うからです。
(今はネットで検索すれば、自分の気になったアーティストがどんな曲を歌っているのか一発で分かりますけどね‥)
〈ここからが今日の本題〉
1990年代〜2000年代にかけて日本の音楽業界を席巻したレコード会社 といえば、
【エイベックス(avex)】
【ビーイング(Being)】
やっぱりこの2社ですよね!
(正直、他には思い付かない‥)
(左)エイベックス本社ビル / (右)ビーイング本社ビル
両社ともに数多くの人気アーティストを輩出して、ミリオンヒットを連発したレコード会社ですが、所属アーティストの雰囲気や音楽性はまったく違って、それぞれの魅力があると思います!
まずは 主な所属アーティストの確認から!
【エイベックス (avex)】
浜崎あゆみ、安室奈美恵、EXILE、Every Little Thing、globe、TRF、hitomi、相川七瀬、V6、DA PUMP、倖田來未、BoA、島谷ひとみ、Do As Infinity、day after tomorrow、AAA、三代目J Soul Brothers、GENERATIONS、E-girls、Kis-My-Ft2、Snow Man、大塚愛、東方神起、鈴木亜美、ケツメイシ、後藤真希、Dream5、lol、Da-iCE ‥etc
(エイベックス公式サイト)
【ビーイング (Being)】
B’z、ZARD、WANDS、大黒摩季、DEEN、T-BOLAN、ZYYG、FIELD OF VIEW、小松未歩、倉木麻衣、GARNET CROW、愛内里菜、上原あずみ、DAIGO(BREAKERZ)、BOYS AND MEN、SARD UNDERGROUND ‥etc
(ビーイング公式サイト)
改めて所属アーティストのラインナップを確認してみると、エイベックスもビーイングも超有名アーティストが揃っていますね!
(ネームバリューでみればエイベックスのほうが優勢かな‥?)
ちなみに CDの総売上枚数 ですが、上記の主なアーティストだけに限ってみても‥
エイベックス→ 約3億枚
ビーイング→ 約2億5,000万枚
(もう天文学的な数字ですよね‥)
今日は両社のアーティストの楽曲の魅力や特徴、これまでの実績を振り返ってみます!
(Wikipedia・オリコンチャート等も参照・引用しました)
まずは【エイベックス】
エイベックスの最大の特徴と功績は、従来のポップスと洋楽のダンスミュージックをうまく融合して、スタイリッシュな新しい音楽を生み出した点 だと俺は思います。
(元々エイベックスは輸入レコードの販売会社として設立されたらしいので、洋楽に造詣が深いのも影響していると考えられますね)
同社の創成期にデビューした TRFが1994年に[survival dAnce〜no no cry more〜][Boy Meets Girl]と立て続けにミリオンヒットを連発すると、翌年の1995年秋頃には globe[Feel Like dance]、安室奈美恵[Body Feels EXIT][Chase the Chance]等が大ヒット!
(いずれもプロデュースは小室哲哉なので、エイベックスの躍進=小室哲哉の功績 と捉えることもできます)
冒頭でエイベックスのアーティストの音楽性は “従来のポップミュージック+洋楽のダンスミュージックを巧みに融合した新しいジャンル” と述べましたが、まさに TRFや安室奈美恵は典型例 ですよね。
(ユーロビートや後に大ブームとなるトランスをいち早く取り入れたのもエイベックスでした)
また所属アーティストの一覧を見てもらえば分かると思いますが、ダンスミュージックを得意としているアーティストが多い のも特徴の一つ。
最先端で独創的かつ、クオリティーの高い楽曲を次々に発表していったエイベックスのアーティストは、若者たちから絶大な支持を集めました。
メディア露出が多く、音楽番組やCMへの積極的な出演などで自社のアーティストの楽曲をPRする戦略方法も成功を収めるなど、流行を先取りする手法 (マーケティング) がとにかく上手だったんです!
(よくよく考えてみれば、俺が最初に好きになったのもエイベックスのアーティストが多かったですね‥)
1996年3月に発売されたglobeの1stアルバム[globe]が415万枚、1996年7月に発売された安室奈美恵の1stアルバム[SWEET 19 BLUES]も340万枚を売り上げるなど、記録的なメガヒットでチャートを席巻。
(globeと安室奈美恵のアルバムは同年のオリコン年間アルバムランキングで、それぞれ1位と2位を独占する快挙を達成しています)
さらに、前年から大ブレイクしていた安室奈美恵が1996年のオリコン年間アーティスト別トータルセールスで堂々の1位に輝き、翌1997年2月に発売された[CAN YOU CELEBRATE?]も230万枚のダブルミリオンを達成。
1997年頃からは、Every Little Thingもミリオンセラーを連発して、同社は音楽業界で盤石の地位を築いていきました。
1998年4月にデビューした浜崎あゆみが一躍トップアーティストに上り詰めたことも決定的な追い風となり、エイベックスは名実ともに音楽業界の最大手企業として君臨することになります。
少し興味深いのは、1998年以降に同社の稼ぎ頭となっていった Every Little Thingと浜崎あゆみの楽曲が、ダンスミュージックではなく正統派のポップスを基本にしていた点 です。
(おそらく) 1998年頃から小室哲哉の人気に陰りが見えてきた ことによって、エイベックスも音楽性の方向転換を図った のではないかと思います。(俺の勝手な憶測ですがww)
特に 浜崎あゆみの楽曲は王道のJ-POPやデジタルサウンドを多用したポップス、バラードなどが多かったのですが、この方向転換は大成功を収めました。
2001年3月に発売されたベストアルバム[A BEST]は430万枚を売り上げ、エイベックスの所属アーティストが発売したアルバムとしては歴代1位の記録を更新!
(2001年3月期には、浜崎あゆみが同社の売上高の40%を稼ぎ出した とも言われ、エイベックスの看板歌手=あゆ というイメージが浸透したのもこの頃からでしたよね)
2000年代半ばには、EXILEや倖田來未の人気も急上昇。やがてエイベックスを代表するトップアーティストになっていきました。
賞レースの常連としても有名な同社のアーティストたちですが、“日本で最も権威のある音楽賞” として名高い【日本レコード大賞】では、1995年のTRF[Overnight Senstation〜時代はあなたに委ねてる〜]を皮切りに、2021年のDa-iCE[CITRUS]までの26年間で、エイベックスのアーティストが15回も大賞を受賞 しています。
特に 1995年〜2015年の20年間においては、なんと14回/21回がエイベックスの所属アーティスト という結果に!
史上初となった浜崎あゆみのレコード大賞三連覇も印象的 でしたよね!
1995年〜2015年までの【日本レコード大賞】“大賞” 受賞アーティスト一覧 (日刊スポーツより一部引用)
(⚫︎はエイベックス所属アーティスト)
年間の “CD・DVD総売上枚数” を基準に、最も売れたアーティストを選出する【日本ゴールドディスク大賞】でも、エイベックスのアーティストは1994年のTRFから始まり、2021年のSnow Manまで 28年間で13回も “アーティスト・オブ・ザ・イヤー” に選ばれています!
1994年〜2021年までの【日本ゴールドディスク大賞】“アーティスト・オブ・ザ・イヤー” 選出アーティスト一覧 (年代流行より一部引用)
(⚫︎はエイベックス所属アーティスト)
つまり エイベックスは1994年にTRFが大ブレイクしてから、20年以上に渡って業界のトップを走り続けている ということですね!
もう一点、同社に関しては 大きな特徴として挙げるべきポイント があります。
それは、 “ファッションリーダー” と呼ばれるアーティストを生み出したこと!
〈安室奈美恵〉
〈浜崎あゆみ〉
〈倖田來未〉
特に上記の3人は、若い女性たちのファッションアイコンとして時代を牽引した憧れのディーバだったと思います!
歌手業での大成功はもちろんですが、数々の流行を生み出したファッションリーダーとしての存在感も抜群 でした。
浜崎あゆみと安室奈美恵に関しては、以前の記事もぜひ読んでみてください!
また男性アーティストでも EXILEが若い男性の間でファッションリーダー的な存在として人気を集め、2007年くらいから “EXILE風”の男性が街に急増 しましたよね!
(俺もかなり意識して真似していた時期がありますww)
以上の点を大まかにまとめると
【エイベックス】の特徴は、
①従来のポップスと最先端の洋楽ダンスミュージックを融合して、新たなダンスミュージックを作った。
②徹底したメディア露出戦略で流行(ムーブメント)の発信源になった。
③ファッションアイコンとして同性から支持されるアーティストを生み出した。
④常に人気アーティストを輩出して、音楽業界で長くトップを走り続けてきた。
このような傾向があると思います。
続いては【ビーイング】
ビーイングの特徴として挙げられるのは、所属アーティストにバンドが多い点 ですね。
ロックとポップスを掛け合わせた良質な楽曲を量産しつつ、商業音楽をポジティブなイメージに変えて成功を収めた点がビーイングの最大の功績だと思います。
さらに付け加えるなら、90年代に誕生した “J-POP” の礎を築いたと評価するべきかもしれません。
(例外的にB’zはメンバーの松本孝弘が自身で作曲をしているためロック色が強いですが‥)
エイベックスよりも少し早く、1991年にB’zが[LADY NAVIGATION]で初のミリオンセラーを達成してからは、1992年末〜1993年にかけてWANDS[もっと強く抱きしめたなら]、ZARD[負けないで]がミリオンヒット。DEENや大黒摩季といった所属アーティストも次々に大ブレイクを果たしました。
1993年にはチャートの上位を同社のアーティストが占め、いわゆる “ビーイングブーム”が巻き起こったのも有名な話ですね!
1993年のオリコン年間アーティスト別売上ランキングにおけるビーイング系列アーティストの活躍は特に顕著で、TOP10のうち半数がビーイング系列アーティストという快挙を達成!
アーティスト別トータルセールスで1位になったZARDを筆頭に、2位 WANDS、4位 B’z、5位 T-BOLAN、10位 TUBE と続き ビーイング系列のアーティストが大活躍していたことが分かります。
その他にもビーイングブームを象徴するチャート記録を以下に記載します。
・1992年12月28日〜1993年7月26日までの31週間のうち27週間で1位を獲得。
・3月29日〜7月26日までの18週間連続で1位を独占。
・6月21日〜7月5日の3週間、1位から5位を独占。
・1993年6月のオリコン月間シングル売り上げランキングでは、TOP10内にビーイング系アーティストの楽曲が7曲ランクイン。
1992年12月28日付〜1993年7月26日付のオリコンチャート首位曲 (Wikipediaより一部引用)
(⚫︎はビーイング系列アーティスト)
WANDS、ZARD、DEENといったビーイング所属アーティストの大ヒット曲を手掛けた作曲家といえば、やはり 織田哲郎 が真っ先に思い浮かびます。
一度聴いただけでメロディーが耳に残るポップスやバラード、ポップロックはすべて名曲ばかりで、当時のビーイングブームも織田哲郎の楽曲があったからこそ だと思います。
ところで、ビーイング系アーティストの大きな特徴は、ほとんど音楽番組に出演しなかったことですよね。
Wikipediaからの引用(一部改変) になりますが、
ビーイングは意図的に情報量を減らすことで、人々の話題を得る手法を採った。結果としてファンは情報を得るためにCDを購入。かつてないCD販売量を記録した。
つまり、敢えてメディア露出を控えることでアーティストの特別感を高めていた と捉えられますね。
意図的に音楽番組への出演を控える→アーティストのプライベートな一面を見せない→特別感が高まると同時に世間の関心を集める→CDが爆発的に売れる!
こんな感じの解釈でしょうか?
先程のエイベックスとは真逆の手法に思えますが、興味深いのは まったく異なるプロモーション方法でありながら、それぞれが大成功を収めているところ なんですよね。
(もちろんビーイングの戦略は、パソコンやスマホが普及する前の時代だったからこそ成功した手法であり、良くも悪くもアーティストとファンが身近になった現在では難しいと思いますが‥)
1993年の “ビーイングブーム” 以降も、B’zやZARD、大黒摩季、WANDS、DEENはミリオンセラーを連発。1995年にデビューしたFIELD OF VIEWの2ndシングル[突然]もミリオンセラーを達成しています。
ところが1996年以降は、ビーイング系列アーティストの人気が急速に低迷‥
(この点がエイベックスとの大きな差で、ビーイングの全盛期は比較的短かった印象があります‥)
それでも、B’zとZARDの人気は別格で相変わらずミリオンヒットを連発していました。
特にB’zは1998年5月にリリースしたベストアルバム[B’z The Best “Pleasure”]が514万枚を売り上げ、当時の歴代1位記録を樹立!
(この記録は翌年の1999年に宇多田ヒカルのデビューアルバム[First Love]が更新しています)
同年9月には、ベストアルバム第2弾となる[B’z The Best “Treasure”]も発売され、440万枚のセールスを記録。
(2枚のアルバムで合計1,000万枚!!)
ZARDも1999年5月にリリースしたベストアルバム[ZARD BEST The Single Collection 〜軌跡〜]が300万枚を超えるセールスを記録して、人気の健在ぶりを証明しました。
1996年以降、ビーイングの看板アーティストは(実質) B’zとZARDの2組になっていましたが、1999年12月に倉木麻衣がデビューすると瞬く間にトップアーティストとして大活躍!
2000年7月に発売された1stアルバム[delicious way]は353万枚を売り上げています。
倉木麻衣の場合、これまでのビーイング系列アーティストとは音楽性が異なり、R&Bを基調としたポップスやバラードナンバーが多い という点が特徴的でした。
これは 倉木麻衣の楽曲を多く手掛けた作曲家・大野愛果の特徴的な傾向 だと思います。
また 2000年には愛内里菜もデビュー。スマッシュヒットを飛ばしました。
“ビーイングブーム”自体は比較的早く終わってしまった感覚がありましたが、その後も第一線で大活躍しているB’z、全盛期を過ぎても安定した人気を保っていたZARD、ビーイング系列のアーティストでは久々に大ブレイクを果たした倉木麻衣の成功もあり、現在でもビーイングは安泰と言えますね。
(残念ながらZARDのボーカル、坂井泉水さんは2007年に急逝してしまいましたが‥)
2019年にデビューしたSARD UNDERGROUNDはZARDのトリビュートバンドで、ZARDの名曲をカバーしています。
(ボーカルの声も透明感があって綺麗なので、機会があったらぜひ聴いてみてください!)
【ビーイング】の特徴としては、
①90年代に誕生したJ-POPの礎を築いた。
②ロックとポップスを融合して、親しみやすいメロディアスな楽曲群を生み出した。
③商業音楽をポジティブなイメージに変えて、ヒット曲を量産した。
こんな感じですかね。
〈エイベックスサウンド〉
という言葉が存在するほど、両社の所属アーティストの音楽性にはそれぞれの特徴があります。
現在は解散してしまったグループや引退してしまったアーティストもいますが、今後も 大型新人アーティストのデビューに期待したい ですね!