ロシアによるウクライナ侵攻への抗議デモに参加する人々(イギリス・ロンドン)
〈写真出典 朝日新聞デジタル〉
イスラエルを支持する人々の集会(ニューヨーク・タイムズスクエア)
〈写真出典 朝日新聞デジタル〉
世界では今、2つの大きな戦争が起きている。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を発端とした1年半以上にも及ぶウクライナでの戦争と、パレスチナ自治区ガザを実効支配しているイスラム原理組織・ハマスが今年10月7日にイスラエル領地を奇襲したことに端を発する戦争だ。
俺はあまり世界情勢について口を挟むのが好きではないのだが、ロシアによる侵略戦争とハマスの卑劣なテロ行為の経緯、国際社会が今後取るべき対応を自分なりに考えてみた。
まずは、ロシアによるウクライナへの侵攻について。
〈ロシアによるウクライナ侵攻〉
2022年2月のロシアによるウクライナへの侵攻から始まったこの戦争は、明らかな侵略戦争だ。
そもそも2014年3月にロシアがクリミア半島を一方的に併合(占領)した時点で、すでに侵略行為と言えるが、同時点でのロシアに対する制裁は不十分なものだった。
(これは天然ガスをロシアから輸入していた欧州諸国がロシアへの積極的な制裁に難色を示したためと考えられる)
クリミア半島を手に入れたロシアはさらに貪欲な本性を見せ、ドンバス戦争を経て2022年2月のウクライナ侵攻へと進んでいった。
ロシアという国家の姑息な性質はソ連時代から脈々と受け継がれている。
古くは1939年9月のナチス・ドイツとの密約によるポーランドへの宣戦布告なしの侵攻や、1945年4月の日ソ中立条約の一方的な破棄と同年8月の不意打ちとも言える対日参戦、北方四島の不法占拠など、ロシア(ソ連)の姑息な行為には枚挙にいとまがない。
話をウクライナ戦争に戻すと、ロシア軍は2022年2月の同国侵攻以来、各地で市民に対する残虐行為を含む数々の戦争犯罪(ジュネーブ条約違反等)を起こしながら、不当にウクライナの領土を奪っている。
欧米諸国はロシアへの本格的な経済制裁、ウクライナへの武器提供や資金援助、避難民の受け入れといったウクライナ支援を続けているが、泥沼化した戦闘はなかなか収束の気配を見せない。
本来ならNATOを中心に、ロシアの軍事施設やモスクワへの空爆といった措置を取るべきなのだが、核兵器を所持するロシアを刺激するのは危険だという難しい問題もある。
特に欧州は距離的にもロシアに近いため、自国や周辺同盟国の安全を考慮すると、迂闊にロシアへの攻撃に踏み切れない事情は理解できる。
大量の核兵器を持つロシアを積極的に攻撃する国は今後も現れないと考えられるので、ウクライナの後方支援に全力を尽くすしかないのが現状だろう。
現時点で欧米諸国はヨーロッパ全体の安全を最優先に考え、水面下でウクライナへの武器提供や資金援助を行うのが精一杯なのかもしれない。
また、ロシアを支持している国々が少なからず存在するのも厄介な問題だ。
表立って支持を表明してはいないが、中国などは明らかにロシア寄りで、いくら西側諸国がロシアに経済制裁を課したところで、“抜け道” があれば制裁の意味は薄れてくる。
ウクライナはロシアの国連追放と常任理事国の地位を剥奪することを求めているが、これも(一見)名案のようで、じつは大きな危険をはらんでいる。
国連の常任理事国からロシアを外すだけであれば賛成だが、常任理事国には拒否権があるため、当のロシアが素直に応じるとは思えない。
強権的に国連が常任理事国の地位を剥奪することも不可能ではないが、そうなれば結局ロシアは国連を自ら脱退する道を選び、国際社会から完全に締め出された独裁国家として、どんな暴挙に出るか分からない。
ロシアの暴走を抑えるために国際社会は、最低限のラインでロシアとの繋がりを保つ必要がある。
おそらくプーチンには、“降伏” という選択肢がない。
ウクライナを占領するまで戦争を続けるか、周辺国を巻き込んで自滅するか、どちらにしても危険な状況にあるのは確かだ。
ウクライナでの戦闘を終わらせ、ヨーロッパ及び世界情勢の安定を図るためには、ロシアが自暴自棄になる前に停戦協定を進めていかなければならない。
ただし、この停戦協定も一筋縄ではいかないのが難点だ。
ロシアは自国に不利になるような条件であれば停戦に応じないだろうし、ウクライナも自国の領土を占領された状態での停戦など納得できないはずだ。
話し合いが平行線を辿ったまま戦争が続いて、罪のないウクライナ国民が犠牲になることは避けるべきだが、協定の内容次第では停戦も困難を極めるだろう。
また停戦期間中にロシアが軍備を増強して、突然ウクライナを再攻撃する可能性も否定できない。
(これまでの歴史を振り返れば分かるように、ロシアには同じような“前科”が何度もある)
NATOがロシアを総攻撃してクレムリンに大打撃を与えることができれば手っ取り早いが、最初にも述べたようにロシアは大量の核兵器を持っている。
この核兵器こそが、話をややこしくしている最大の原因だ。
かつてアメリカとイギリスが、イラクやアフガニスタンを空爆してテロ組織を壊滅させたり、独裁政権を打倒したように、“勧善懲悪方式”で解決すればベストなのだが、ことロシアに関しては下手に刺激するわけにもいかない。
現時点では、アメリカとロシアが互いに“核”を切り札に牽制し合っていることで、皮肉にも世界の安定が保たれているのだ。
核武装したロシアを制圧するのは困難で、降伏(もしくはウクライナからの完全撤退)がほぼ望めないと考えた場合、ウクライナの領土をどれだけ守れるかは西側諸国の手腕にかかっている。
もちろんプーチン大統領とロシア政府高官は戦争犯罪者であり、国際社会による裁きを受けなければならないが、ロシアの降伏が現実的ではない限り、彼らを戦争犯罪者として裁くことは難しく、ウクライナへの補償もうやむやになってくる。
欧米諸国も本音としてはプーチン政権を打倒して、ロシアという国家そのものを再解体するべきだとさえ考えている。
しかし今回ばかりは残念ながら “正義の勝利” とはいかないかもしれない。
交渉を重ねても、引き分けがいいところだと思う。
しかし例えドローになったとしても、西側諸国にはウクライナの主権と領土を可能な限り守らなくてはならない理由がある。
“ウクライナの敗北=民主主義の敗北” に直結するからだ。
他国へ侵略して領土を奪うロシアの覇権主義思想を見逃せば、今度は中国もロシアに追随する危険性が高くなる。
(今やロシアより中国のほうが力を持っているので、“追随” という言葉が相応しいかは分からないが‥)
日本にとっても、ウクライナの危機は決して対岸の火事ではない。
近いところで言えば、台湾有事が最たる例だろう。
もし台湾が中国に占領された場合、次に狙われるのは沖縄や尖閣諸島を含めた日本だ。
ウクライナとの戦争で勢い付いたロシアも、不法占拠している北方四島だけに飽き足らず、北海道の領有権を主張する可能性がある。
中国やロシアが実際に侵攻してくる危険性は低いとされているが「絶対にありえない」と断言することはできない。
「日本はアメリカに守られている」と安心している人も多いが、緊急事態の際にアメリカが身を挺して日本を守ってくれる保証など一切ないのだ。
ウクライナの未来は、民主主義の未来でもある。
なるべく早くウクライナがすべての領土を取り戻し、ロシアは戦争犯罪の報いを受けるべきだが、この悲惨な戦争の出口はいまだに見えていない。
今年10月7日に発生したハマスによるイスラエル領地内へのテロでは、音楽フェスに参加していた外国人を含む多くの若者が犠牲になり、約200人が人質として拘束されたと報道されている。
ハマスはパレスチナ自治区ガザを実効支配しているイスラム過激派の武装組織で、ほぼテロリスト集団と言えるだろう。
ハマスの蛮行は目に余るものがあり、一般市民を攻撃して人質をとっておきながら、イスラエルによる反撃を批判している。
しかもハマスの戦闘員はガザ市民に紛れ込み、民間人を盾にするという卑劣極まりない手法でイスラエルの空爆にガザ市民を巻き込んでいるのだ。
結果的にハマスは、ガザ市民の被害をイスラエル側にすべて責任転嫁しているが、そもそも民間人を巻き込む卑怯な戦法をとっているのはハマスである点を忘れてはならない。
案の定、イスラム教徒が大多数を占める周辺のアラブ諸国はヒステリックに反イスラエルデモを展開しているが、戦闘のきっかけとなった音楽フェスで起きた悲劇を知っているのだろうか?
パレスチナを含むアラブ諸国とイスラエルが歴史的に複雑な事情を抱えていることは、当然理解している。
イスラエル建国以前〜現在に至るまでの経緯や4回に渡る中東戦争についても一通り学んできた。
パレスチナを統治していたイギリスの二枚舌外交や、イスラエルのパレスチナ人に対する差別にも問題はあるが、ハマスによる民間人を巻き込んだテロが許される理由にはならない。
主権国家であるイスラエルには防衛権があるので、テロ行為に対して反撃するのは当然だ。
欧米諸国(特にアメリカ)はイスラエルを支持しているが、極めて妥当な判断だと思う。
イスラエル支持を表明する著名人も多い。
俺自身も8年前の夏に、1度だけイスラエルのテルアビブを訪れたことがある。
イスラエル最大の商業都市であり、リゾート地でもあるテルアビブは、近代的な超高層ビルが立ち並ぶ大都会で、フリッシュマンビーチなどのビーチエリアも美しい街だ。
外国人観光客が多いためか治安も良く、イスラエルの人々はとてもフレンドリーかつ寛容で、3週間程度の短期間だったが楽しく滞在できたことを覚えている。
対照的にアラブ人(主にイスラム教徒)には、正直あまりいい印象がない。
個人的な印象だけで判断するのは独善的で申し訳ないが、実際イスラム教徒を嫌悪する欧米人は多い。
特に2001年9月のアメリカ同時多発テロ以降、反イスラム傾向は強まっている。
ハマスとパレスチナはまったく別物だが、簡単に割り切れるものではなく、違いをよく理解していない人も多い。
少々暴論になるが、一部のイスラム教徒は何か気に入らないことがあると安直にテロという手段を選び、自分たちの価値観と相容れない人々を攻撃する傾向がある。
(タリバンやアルカイダ、ISILなど過激なテロリストは例外なくイスラム教徒である点を考えると、あながち否定はできないはずだ)
面倒なのはアメリカやヨーロッパなどのキリスト教国で暮らす一部のムスリムだ。
世界の多くの国の人々にとって常識とも言える When in Rome, Do as the Romans do (郷に入れば郷に従え) の基本的なマナーも守らず、頑なにイスラムの主義主張を押し通そうとして、移住先の住民との間で軋轢を生んでいる。
現代社会では当たり前となっている政教分離の概念も理解しようとせずに、他国の風習や文化を受け入れないばかりか、ムスリム同士で排他的な集団を構成している点も嫌悪感を持たれる要因だろう。
挙げ句の果てには、欧米の文化に馴染めない原因を現地の人々のせいにして「差別だ!」などと騒ぎ、テロリズムへと走る。
逆恨みも甚だしい。
彼ら(イスラム教徒)は、なぜ世界の人々に疎まれるのか?
その理由を一度省みるべきだと思う。
イスラエルによるガザ地区への空爆は確かに度が過ぎている部分もあるが、結局はハマスの残忍なテロ行為への “報復” に過ぎないというのがイスラエル及びアメリカの見解だ。
加えて欧米人の根強い “イスラム嫌い” がパレスチナ問題をより複雑で難しいものにしている。
それでも、やはり民間人が戦争に巻き込まれるのは悲しく、心が痛い。
周囲を非友好国に囲まれたイスラエルが自国の防衛に神経を使うのは十分理解できるが、テロリストであるハマスと同じように一般市民を巻き込んだ戦闘を繰り広げてはいけない。
民間人を攻撃した時点で、イスラエルもハマスと同じ残忍な虐殺者というレッテルを貼られてしまうからだ。
過剰な反撃はアラブ諸国を中心にイスラエルへの批判を高める口実となり、イスラエルを支持している欧米諸国でさえ疑念を抱く要因になりかねない。
イスラエルを支持する国々の足並みが揃わなければ、いよいよハマス側の思う壺だろう。
テロリストの狙いの一つに、敵対する国とその同盟国間における結束を乱すことが挙げられる。
イスラエル軍は、現在ガザ地区を完全に包囲して地上戦への突入も目前とされているが、罪のない多くの民間人を巻き込む地上戦は中止するべきだ。
可能であれば一刻も早く停戦して、人質の救出に尽力してほしい。
将来的にはガザ地区を国連の信託統治領にして、イスラム過激派のテロリストを追放した後に、インフラ整備や生活物資の配布といった住民の生活レベル向上に努めるのがベストだと思う。
ガザ地区の人々も決してテロ組織に支配された暮らしを望んでいるはずがない。
ハマスやイスラム過激派は、ガザ地区の住民にイスラエルやアメリカへの憎しみを煽り立てて、自分たちに対する不満を逸らすだけでなく、新たなテロリストを生み出す狡猾な “憎悪連鎖戦法” に長けている。
イラクやアフガニスタンでも同じ手法で、別のテロ組織がメンバーを増やしていった経緯を見れば分かるだろう。
憎悪の連鎖を断ち切るためには、テロリストを徹底的に壊滅させる必要があるが、一方で民間人を巻き込まないように平和的解決の道を探り、若い世代からテロリストを出さないことも重要だ。
ただし、テロリストの根絶と憎悪の連鎖を断ち切るという2つの目標を達成する過程には、明らかな矛盾やジレンマが生じるため、非常に難しい課題と言える。
〈God bless the Ukraine and Israel!〉
ウクライナとイスラエルの人々の安全を祈ると同時に、1日も早く戦争が終わることを願っている。
ハマスとの戦闘に巻き込まれて避難できないガザ地区の人々も心配だ。
国家や組織のエゴや欲望で、市民が戦争の被害に遭うような悲劇は絶対に許されないと思う。
God bless the Ukraine and Israel!
I hope for their safety everytime, and I hope end of the war as soon as possible
My heart is always stay by their side!