「若い時の苦労は買ってでもせよ」という年寄りの説教じみた、古い言葉(ことわざ)がある。
“根性論”の大好きな日本人ならではかと思いきや、英語でも Heavy work in youth is quiet rest in old age (若い頃の苦労は老後の安泰) なんて言い回しがあるらしい。(意外…)
俺は人生に苦労など一切必要ないと考えている。
理由は簡単。
日々生きていれば、望まなくても苦労する局面が多々あるからだ。
生きているだけで、何かしらの苦労はつきもの。
人間関係、仕事、自分自身や家族の健康、恋愛、結婚、金銭問題、老後…
人生は最初から最後まで苦労と不安の連続。
「若い時の苦労は買ってでもせよ」なんて、よっぽど暇で気楽な人生を送ってきた人間の言葉としか思えない。
そもそもが苦労ばかりの人生で、わざわざ自分から苦労する道を選ぶ必要がどこにあるのだろうか?
よく運動部出身者で、“厳しい練習に耐えたから今の忍耐力が身についた” と大仰な主張をするやつを見かける。
はっきり言って失笑モノだ。
避けられない不幸や不運には、結局のところ耐えて立ち向かっていくしか道はないのだから、忍耐力もへったくれもない。
ましてや完璧にお膳立てされた部活練習くらいの苦労で “忍耐力が身についた”と思っているのなら、今後の人生は困難だらけだろう。
もう一度言うが、人生に苦労など一切必要ない。
避けられる苦労であれば、なるべく避ければいいと思う。
若いからと自ら苦労する道を選ぶ必要はないし、もっと極端な話をすれば平坦で楽な道を選ぶのが正解なのだ。
いずれ対峙しなければならない問題もあるだろうが、それはその時に考えればいい。
自分語りで申し訳ないが、俺は中学時代から学校をサボってばかりいた。
・眠くて起きられない日は学校に行かない。
・寒い日や暑い日も学校に行かない。
・雨が降っていれば、雨が止むまで学校に行かない。
こんなどうしようもない生活をしていた俺でも、社会人として10年以上働いている。
理不尽なことや辛いこと、苦しいこともたくさんあった。
それらは “必要苦” として、自分の中で折り合いをつけながら受け入れてきた。
“金のために仕方なく働く”
これくらいの程度であれば、その場しのぎの忍耐力でどうにでもなる。
すべての困難には “その時点で最も適切かつ楽な方法” で対処するのが一番 だと思う。
苦労から逃げて楽な人生を選んできた俺みたいなダメ人間でも、いざとなったら覚悟を決めて立ち向かっていくしかないのだから。
長々と講釈を垂れてしまったが、“買えるような苦労” なら後々何の役にも立たないし、無駄な苦労を経験しておく必要はまったくないということ。
例えば今「自分には苦労が足りない」と思っている奇特な人たち。
または、根性論が大好きなおっさんに「若いやつは自分から困難に立ち向かっていけ!」と “昭和的価値観”を押し付けられている人たち。
まったく心配はいらない。
何度も言うが、望まなくても人生には相応の苦労が付きもの。
いずれ訪れる苦難の時までは、なるべく平坦で楽な道を選んで生きていけばいい。
どうせ1度きりの人生。
“避けられる苦労なら避けて通ればいい” と俺は思う。